『一番好きな映画は?』
これ会話が途切れた時のあるある繋ぎね(笑)
私の場合は本当に映画が好きなんでこの質問も意味が違うのだけど。
皆さんはなんですか?
私は幼い頃から父の影響で映画が大好きでこれまで数本撮ったこともあります。
んで、一番好きな映画はズバリ。
『E.T.』
私の生涯ベスト。
恐らくこれを超える映画は私の以降の人生においてもないと思っています。
少しこれについて語ります。
ので、興味のない方はチャンネルを変えて下さい。
変えた?
大丈夫?
1982年、スピルバーグの作品です。
何故この映画がベストかというと、それは映画というものが
時間を切りぬいた『時』の結晶だということが良く分かるからです。
映画の素晴らしさ、儚さを体現したかのような映画。
映画というのは総合芸術と言われています。
本、演技、音楽、撮影、照明、道具。
全ての技術を集結して作り上げる芸術であるということですね。
主演はヘンリートーマス。
素晴らしい演技です。
まさに天才子役。
そして妹役のドリューバリモア。
あのバリモアです(笑)
の子供時代。
母親役はディーウォーレス。
地味ですが美人さんです。
ハウリングの変身が有名。
ヘンリーもバリモアも今では普通に大人。
むしろ中年なんでもちろん再キャストすることは出来ません。
ウォーレスはおばあちゃんです(笑)
E.T.のデザインも素晴らしい。
人間でもないし、地球上のどの動物でもない。
それなのにどこか愛着が湧いて親しんでしまう。
このデザインなしにE.T.は語れません。
カルロ・ランバルディがいい仕事しています。
音楽は映画音楽の巨匠ジョンウィリアムス。
もう有名な曲はほとんど彼が作曲しているといっても過言ではないです。
スーパーマン、スターウォーズ、ジョーズ、インディジョーンズ、
ジュラシックパークにホームアローン。
耳に残る曲は大体ジョンです(笑)
そして監督は我らがスティーブンスピルバーグ。
もうなんの説明も要りません。
E.T.はCGを使い編集を加えた20周年特別版というものが存在し公開されています。
これと比較すると色々なことが分かって来ます。
初期の頃は当然CGは存在していませんので、
最新の技術を使っていじりたくなるんですね監督って(^_^;)
スターウォーズもやってましたよね・・・
E.T.自体もCGで置き換えられています。
タイトルの通り公開から20年経過しておりスピルバーグも結婚し子供がいます。
そうすると監督といえど人なので思想も変わります。
E.T.では最後の逃走劇で警察が自転車に乗ったエリオットとE.T.を追いかけます。
この時に警察は拳銃を持っているのですが、歳を重ね子供を持ったスピルバーグはこう考えます。
『子供に銃を向けるなんてけしからん!』
そこで警察の持っている拳銃をCGで消し、全てトランシーバーに書き換えました。
が、エリオットの自転車が飛ぶあの有名なシーン。
逃走が成功し逃げ切ったと思いきやバリケードを張った警察が。
その1人がショットガンを構え・・・・となりあのシーンに行くのですが、
実はこのショットガンを構えるシーンがそのアップの1カットなんです。
すなわちトランシーバーに書き換えられない。
するとスピルバーグはそこを落とすことにしました。
このラストシーンで流れる曲。
これが自転車での逃走の始まりから最後のクレジットが出る瞬間まで流れる
1曲の一大交響曲になっています。
ジョンウィリアムスの最高傑作と言っても過言ではない素晴らしいでき。
特に飛行の瞬間は鳥肌ものです。
(以降は↑聴きながら読んで)
ということは・・・
1カット丸々落としてしまうと尺が合わなくなってしまう。
そこでどうしたかというとこの曲をアレンジして撮り直しました。
完璧だった曲はアレンジのしようがありません。
特に一番の要因になったのが飛行の瞬間。
ここをアレンジしたので残念極まりないものに・・・
あれから時が経ち、地位も名誉も金も手に入れたスピルバーグ本人ですら
過去の自分の作品を超えることが出来ませんでした。
こうしてこのE.T.が作られた1982年、あの瞬間に集まったあの才能があの時にしか作れなかった結晶がこの初公開時のE.T.
こんなに映画の素晴らしさを体現している作品が他にあるでしょうか。
この撮影時は時間がなさ過ぎてスピルバーグは絵コンテなしでほとんどを撮影したそうです。
絵コンテとは映画の設計図。
映画は最初から順序よく撮影するものではないのでこれが必須です。
巨匠マーティンスコセッシも自身の著書『スコセッシ・オン・スコセッシ』で、
若い頃に天狗になり絵コンテなしで撮ったが到底出来るものではなかったと語っています。
最後のシーン。
あまり詳しくは書きませんが、母親の笑顔が1カット入ります。
凡才の監督ではこのカットは撮影していなかったでしょう。
たったこの1カットを入れることにより、このE.T.内での母親の物語も回収して完結させる。
疎い人にはただの1カットですが、これが出来るのがスピルバーグという監督です。
これを絵コンテなしで撮ったなんて信じられません。
このE.T.はキャメロンのタイタニックに抜かれるまで歴代興行収入1位。
なんとも恐ろしいことです(^_^;)
E.T.と言うと子供向けや、古臭い映画とバカにする人もいるでしょうが、何も分かってない人ですね。
是非、オリジナル版はご覧になって下さい。
余談
E.T.と言うとE.T.とエリオットが指を合わせて心を通わすってシーンを思い浮かべる人が多いようです、、、、、
が、本編にそんなシーンありません(笑)
どうやら
このポスターの印象で本編にそういうシーンがあると思いこんでる人が多いようです。
エリオットが指にけがをしてE.T.が側面を触って治すってシーンはありますがこんなんじゃありませんし。
E.T.観たことある?聞いて、
『あの指合わせるやつでしょ?』
って言う人は大体観てない人ですね(笑)